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魚矢 奈々恵(鷺沼園)

消防士体験人一倍大好きな昆虫を、一人でも多くの人に知ってもらいたい!という気持ちから博物館の学芸員になることを選んだAくん。普段は恥ずかしがりやで人前に立つことは苦手、でも大好きな昆虫のことになるとマシンガントークが止まらない!そんな彼は、好きなことに対してはとても目標が高く、何でも完璧にやりたい気持ちが強い一面もありました。
博物館の準備を進めるにつれて、やりたいことと、自分にこととにギャップを感じ、「こんなんじゃへたくそだ!」と自分を責める言葉が増えていきました。もともとうまくいかない場面で、否定的な言葉を発することが多かったAくん。当初は気に入らないところがあると、一回一回筆を進める手を止めては嘆く姿がありました。しかし、レインボータウンまでの日数は限られています。締め切りに追われる漫画家のように、出来栄えを気にしながらも数をこなしていきました。そして次第に、「これくらいでいっか」という、Aくんなりのボーダーラインが変わってきたのです。終盤は手を止めることなく着々と準備を進め、無事にすべての標本作りを終えました。

そして迎えたレインボータウン当日。
当日の博物館は、終日満員の大盛況!多くのお客さんから賞賛の声をかけてもらい、仕事をやり切ったことに達成感でいっぱいの様子でした。
終わった後の振り返りでも、できなかったことに対する反省はありつつも、頑張った自分にどこか誇らしげな表情。とても自信につながったようでした。

レインボータウンから数か月が経ったある日。いつものように大好きな昆虫のお絵描きをしていたAくん。「見て!こんなになっちゃった!」と思った通りに描けなくて面白い形になった昆虫の絵を見せて、大笑いしています。以前の彼であれば、うまく描けなかったことに怒ったり泣いたりするはず。彼の口から出たその意外過ぎる発言にとても驚かされました。
好きなことに集中して向き合い、たくさんの「できない!」、「もっとうまくやらないと!」いう葛藤を抱えながらも、「時間内に準備を終える」という 仕事として一番大切なことをやり遂げた経験が、Aくんに、「まあ、いっか。」と楽観的に考え、些細なことを許容しようとする気持ちに繋がったのだと思います。
その後も適度に「まあ、いっか。」を出しつつ、さまざまな行事や日常生活での好きなこと、やりたいことに対して積極的に一歩踏み出してチャレンジしようとする姿が増えていったAくんでした。

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